2016年12月9日金曜日

ゲーム企画をレビューしてもらえるWebサービス案を考えてみた

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目次

1. はじめに

 ゲームの企画を考えて、その内容に不備や改善点が無いかを確かめたい時に、第三者の目による評価は役に立ちます。しかし、現状では、上記のような第三者によるゲームの企画の評価をもらうためには、身近な人に頼んだり、SNSを利用して評価をもらったりすることくらいしか方法が思い浮かばないかと思います。そこで、実際に作るかどうかはともかく、Webを通じて第三者からゲームの企画の内容について評価をもらうための「ゲーム企画書レビューWebサービス案」を考えみます。

2. Webサービス利用者ができること

 Webサービス利用者は、以下のことが行える想定です。

  • ゲーム企画の投稿
  • 他者が投稿したゲーム企画への評価

3. 投稿するゲームの企画の内容

 ゲームの企画を投稿する際は、以下の項目を含めることが望まれます。

  1. タイトル
  2. 目的
  3. ゲームジャンル
  4. ターゲット
  5. 対象プラットフォーム
  6. 使用する技術
  7. ストーリーの概要
  8. ゲームフロー
    • 画面イメージ
    • 要素の説明
  9. 類似タイトル
3-1. タイトル

 「タイトル」は、企画するゲームのタイトルを記述します。企画段階では、リリース時を想定した凝ったタイトルを考える必然性はありませんが、評価者に対して内容を素早く理解してもらうためには、内容を素直に表現したタイトルであることも考えられます。(タイトルの例:「◯◯を△△するゲーム」)

3-2. 目的

 企画したゲームは、何のために生み出そうとしているのか、誰のどのような問題を解決しようとしているのかをこの「目的」で示します。ゲームは娯楽目的であることが大半のため、その大雑把な目的は往々にして「退屈さを無くすため」となりますが、ここではさらに具体的であると良いです。既存の類似ゲームの特定の部分にある問題をどのように解決するのか、などの具体性が望ましいです。

3-3. ゲームジャンル

 「ゲームジャンル」は、いわゆる「RPG」「アクションゲーム」などのゲームジャンルです。各ジャンル名が何を意味するのかという厳密な定義は曖昧ですが、評価者に対するゲームの内容の理解を助けるためには「ゲームジャンル」を示すことは役に立つでしょう。一般的に使用されないオリジナルなジャンル名を使うことによって、ゲームのキーコンセプトを示すこともできますが、あくまでそれは意味が理解しやすいことが前提です。

3-4. ターゲット

 「ターゲット」は、想定されるゲームプレイヤーの特徴です。ターゲットは、往々にして「年齢」「性別」によって示されますが、ここではそれだけに限定しません。住んでいる地域や、家族構成、特定の商業施設をよく利用する人、特定の趣味/好みを持つ人、その他複数の具体的な特徴を組み合わせた条件など、様々な特徴を想定することができます。ゲームプレイヤーの分類方法としても「カジュアルユーザーとコアゲーマー」や「バートルタイプ」「Electronic Arts のユーザーモデル」「ihobo のユーザーモデル」など、様々なものもあるため、これによる分類でも良いでしょう。

3-5. 対象プラットフォーム

 「対象プラットフォーム」では、ゲームが動作する想定の環境を示します。対象とするゲーム機、OSなどがここに入ります。ゲームの企画を公開するサービスである都合上、法人契約が必要となる主要ゲーム機を想定した企画は少ないかと思いますので、多くは一般開発者でも参入可能な Windows や Android、iOS 、HTML5 等の環境が主となるでしょうか。

3-6. 使用する技術

 「使用する技術」と聞くと、DirectX や OpenGL 等の実装で使用する技術を思い浮かべますが、この「使用する技術」ではそれに限定しません。企画の意図として、人のとある心理作用を活用するかもしれませんし、社会学的な特徴を利用した企画となるかもしれません。これらも技術となります。

3-7. ストーリーの概要

 ゲームには、大抵ストーリーが存在します。"脚本"のような、あらかじめ決まった物語がゲーム中で表現されるわけではなくとも、あるキャラクターがどういう特徴を持っていて、どういう文脈でキャラクターたちがゲームの中で行動するのか、という背景としてのストーリーが存在します。この「ストーリーの概要」では、それらも含めます。

3-8. ゲームフロー

 ゲームがどのような流れで進行し、各場面でどのような要素を持ち、どのようなゲーム画面のイメージとなるのかをこの「ゲームフロー」で示します。ゲームプレイヤーがどのような行動のサイクルとなるかの想定もここに含まれます。

 ここでは、ゲームの場面ごとにゲーム画面のイメージとなる画像を投稿することができます。ゲームの内容を評価者に理解してもらうためには、イメージ画像が重要です。

3-9. 類似タイトル

 企画したゲームの内容と近い既存のゲームタイトルがあれば、この「類似タイトル」で示します。これにより、評価者の企画内容の理解の助けとなります。

4. 他者が投稿したゲーム企画への評価

 投稿されたゲーム企画に対して、Webサービス利用者が「評価」を行うことができます。

4-1. 期待する評価の視点

 期待する評価の視点としては、以下のようなものが挙げられるかと思います。

  • 不備の指摘
    不足していると思われる内容、矛盾の指摘
  • 理解できない箇所の指摘
    ゲームの企画の説明で意味を理解できない部分に関する指摘
  • 改善の提案
    「ここをこうすると、良くなるよ」という提案
  • 激励
    「おもしろそう!」「遊んでみたい!」という励まし
4-2. 期待しない評価の内容

 期待しない評価の内容としては、以下のものが挙げられます。

  • 高圧的で曖昧な説教
    「考えが甘いです」「そんなことではゲームプランナーになれませんよ」などの説教
  • 誹謗中傷・非難
    企画の内容に関する指摘ではなく、投稿者に対する非難。または、企画内容に対する具体的ではない非難
4-3. 評価の方法

 上記の方針に則った評価用の書式を提示するという方法も考えられますが、評価方法はあまり縛りを入れずに、自由文による評価という形にしつつ、その内容に関してガイドラインを示す、という形式が無難なように思います。

5. ゲーム企画のバージョン管理

 ゲーム企画の投稿者は、自らの意思または評価者からの指摘や提案を受けて、ゲーム企画の内容を更新することができます。ゲーム企画の内容の更新を行うと、各版には番号が自動的に連番で割り振られます。

 評価者による評価は、どの版に対する評価なのかを指定することができます。システムとしては、初期値として最新版の版が指定され、手動で対象の版を選択することも可能です。

6. 課題

6-1. ゲーム企画の評価者の動機付けの刺激が無い

 ゲーム企画の投稿者としては「第三者からゲーム企画の評価をもらい、内容を改善することができるかもしれない」という可能性が、ゲーム企画の投稿の動機となりそうですが、評価者がゲーム企画を評価する動機付けの刺激がありません。流行に乗るならば、ゲーミフィケーションの考え方を取り入れる方向性になりそうです。

6-2. ゲーム企画投稿者の「ゲームのアイディアが盗まれるのではないか」という心配

 「アイディアそのものに価値があるのではなく、それを実際に形にすることに価値がある」という考え方に沿うならば、アイディアが盗まれようとも、それを実際に形にした人が尊いということになります。また、アイディアは著作権の保護対象とはならないという考え方があるようです。しかし、ゲーム企画の内容のアイディアの上になりたつ表現は、著作権の保護対象になるものもあるため、盗まれた内容によっては著作権侵害にあたる可能性があります。

 そもそも、他者にアイディアが盗まれる心配がある場合は、本稿の案のようなWebサービスを利用せず、身近な人やSNSによる限定公開での評価をもらう方が賢明でしょう。

7. さいごに

 こちらの記事を読んでくださった方で、何か気づいた点がございましたら、ご指摘やご提案をいただけるとありがたいです。